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『昭和残侠伝』


めちゃくちゃ面白かった。


高倉健の作品は『幸せの黄色いハンカチ』と


『鉄道員』ぐらいしか観たことなくて、


1から学ぼうと思い。






健さんのかっこよさがはんぱない。


演技がうまいとは言えないけど、


それを補って余りある圧倒的な存在感。説得力。


映画を見終わったあと、なぜか無口になります。


難しい顔をして、印半纏でうろつきたくなります。


低い声で「からかっちゃいけませんよ」とか


言いたくなります。


二枚目でありながら、破裂寸前の狂気を宿した瞳。


怒らせちゃいけない人だというのは、


ハッキリとわかります。


二枚目というか、一枚目なんですが。





若い頃の松方弘樹もやたら二枚目でした。


池部良という初見の役者もかっこよかった。





翳のある二枚目という点では、


十一代目團十郎にも通ずるものがありますが、


十一代目は『鬱屈』しているのに対し、


健さんは常に背筋を伸ばして視線を逸らさないイメージです。







若大将シリーズの加山雄三とか


トラック野郎の菅原文太を観たときも思ったけど、


昭和のスターは、本 物 で す。





舞台が昭和21年の浅草で、


老人が


「昔は良かった。いまの若いもんは…」


みたいなことを言ってる。


この言葉は、どの世代も使うんだなぁ。







レンタルして3回観ました。


やはり名シーンは、最後の切り込みのとこでしょうか。


相手陣営の仕打ちに耐えて耐えてきた健さんが


もうこれ以上は、ってことで日本刀片手に


ひとりで切り込みに出かけるんですね。


組事務所を出るとき、松方弘樹が飛び出してきて


親分、俺たちも行くぜと申し出るものの、一喝。


「馬鹿野郎っ、まだわからねぇのか。

これからこの街を昔通りにするのはお前らなんだ。頼むぞ」


みたいなことを言って、一人夜中に出ていく。


で、歩いていく道の先で池部良が煙草をふかしているわけです。




池部良扮する風間重吉は


妹を探しに栃木から出てきたヤクザで、


健さんの神津組に寝泊まりして世話になってる。


そんな池部良が健さんに


「あたしも行かせてもらいますよ」


みたいなことを言う。


健さんは断る。池部良食い下がる。


そのときの口上が見所。






「兄さんをひとりで行かせたとあっちゃぁ


『風間は、一宿一飯の


渡世の仁義も知らねえ奴だ』と、


世間の笑い者になります。


男にしてやってくだせぇ。」






健さん、池部良をじっと見て頭を下げ


池部を見上げてニカッと笑う。


なにも言わずに歩きだす。


bgm は高倉健『唐獅子牡丹』。




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しびれますわ。


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